事業譲渡により承継されるもの
事業承継を行うと、譲渡会社の事業が譲受会社に承継されることになります。
しかし、事業譲渡はあくまで取引法上の契約であるため、事業譲渡によって資産や負債が全て譲受会社に引き継がれるわけではありません。
事業譲渡の対象となる資産や負債を譲渡会社から譲受会社に承継させるのは、個別に手続きを行う必要があります。
売掛金の承継
譲渡会社が第三債務者に対して有する売掛金を譲受会社に譲渡するには、通常の債権譲渡と同様に、譲渡会社から第三債務者に対して譲渡する旨を通知するか、第三債務者から承諾を得る必要があります。
また、債権の譲渡を第三者に対抗するためにも、確定日付のある内容証明郵便等で第三債務者に対して債権譲渡を通知するか、第三債務者に債権譲渡契約書に譲渡を承諾する署名と捺印をしてもらい、公証役場で確定日付の捺印を押してもらうというというのが一般的な流れです。
動産・不動産の承継
譲渡するものに動産・不動産を含ませるには、その所有権を移転するための移転手続きが必要です。
この場合、所有権自体は当事者の意思表示だけで移転できますが、動産については占有、不動産については登記といった第三者に対する対抗要件を備えなければいけないのは通常取引と同じです。
登記等対抗要項を備える際には費用が発生しますので、譲渡会社と譲受会社のどちらが費用を負担するかは、あらかじめ事業譲渡契約書に記載しておくことが望ましいです。
事業譲渡によって、譲受会社が譲渡会社の債務を必ずしも負うわけではありません。買掛金といった負債を譲受会社に移転させるためには、譲受会社が債務引受をする必要があります。債務引受には、下記の2つのパターンがあります。
①免責的債務引受
譲渡会社の債務が免除され譲受会社のみが債務について責任を負う債務引受です。
免責的債務引受の際、譲受会社に資力がなかった場合、債務者を不当に害するおそれがあるため、債務者の同意が必要になります。
②併存的債務引受
譲渡会社と譲受会社がともに債務を負担し、保証に類似した債務引受です。
労働契約の継承(従業員の引き継ぎ)
事業譲渡の際には、譲受会社としてはその事業に精通した社員を欲しがりますし、事業と従業員の雇用を存続させた譲渡会社としても、譲受会社が求めるのであれば応じたいところです。
そこで、事業譲渡による従業員の引き継ぎについて詳しくご説明したいと思います。
事業譲渡をするとき、事業に属する個々の資産を譲渡するには、個々の資産毎に個別で契約や移転手続が必要になります。そのため、事業譲渡によってその事業に関わっていた従業員が、当然に譲受会社で勤務できるとは限りません。
譲渡会社から譲受会社へ従業員を引き継ぐのには、別個に労働契約を締結する必要があります。つまり、譲渡会社の従業員は、一度これまで勤務していた会社を退職したのち、譲受会社で新たに採用されるという、通常の転職と同様の手続きが必要になるのです。当然、譲受会社で勤務することに対して、従業員からの同意も必要になります。
したがって、譲渡会社から譲受会社に従業員の引き継ぎをする場合には、まず譲渡会社と譲受会社同士で従業員の引き継ぎを定め、それと同時に当該従業員が譲受会社で勤務することに対する同意が必要になるのです。
また、従業員の引き継ぎがなされたとしても、譲渡会社の勤務条件が譲受会社でもそのままあてはまるわけではなく、勤務条件についても譲受会社と従業員との合意によって具体的に定められることになります。
契約上の地位の継承
事業譲渡によって、譲渡会社から譲受会社に契約上の地位を移転する場合、その契約における譲渡会社の相手方から、移転について承諾を得る必要があります。
例えば譲渡会社が駐車場を賃借していて、その駐車場の利用券を事業譲渡の対象の一つとして移転するには、倉庫の賃貸人から同意を得た後に譲渡会社から賃借権を譲り受ける必要があります。
賃貸人の承諾を得ずに賃借権を譲渡すると、無断譲渡として賃貸人から賃貸借契約の解除を主張される恐れがあるので、事業譲渡契約の際に注意が必要です。
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