建築設計業界の基礎知識
建築物の計画立案にはじまり、設計、設計監理、工事監理等を業務とする事務所のことを建築設計事務所と呼びます。建築設計は、それらの事務所あるいは建築家個人が工務店などの施工会社とパートナーシップを組んで行われるものです。
総合的な事務所を除き、日本では通常設計業務の委託の関係から意匠設計の事務所がそれらを統括するケースが多くなります。しかし、アーキテクトであるべき統括事務所が、単なる衣装設計事務所であるのは問題と言えます。建築士の有資格者が1人でもいれば開設できるので、零細企業の比率が多い業界です。
設計事務所は設計や監理業務を受注する元請型と、同業者や工務店、ゼネコンから受注する専門型の2種類に分かれます。
設計事務所は本来であれば施工会社と独立した関係を持ち、建主にとってサービス業に位置するものですが、「設計施工」においては施工会社のパートナーとしての元請型、あるいは施工会社の一部門として社内事務所の形態を取っている事務所もあります。
専門型の設計事務所は施工一式を請け負うもののほか、構造設計、設備設計など得意分野のみを請け負う事務所も存在します。
建築設計業界において今後も比較的安定した需要が見込まれるのは、一般住宅、リフォーム、耐震診断と言われます。地域密着型の設計事務所とって本来は有利な状況と言えますが、ハウスメーカーやリフォーム専門業者、建物管理業者などのライバルに阻まれ受注の拡大を実現できていないのが現状です。
建築設計業界におけるM&Aの動向
建築設計事務所は建築士の有資格者が1人いれば容易に開設できるため零細企業の比率が高く、後継者の不在が原因で廃業に追い込まれやすい業界でもあります。
M&Aの件数が非常に少ない業界であり、2020年のオリンピックまでは需要の拡大が見込めますが、その後の業界の動向は不透明です。
現在は市場環境が良好なため、後継者がいないなどの理由で経営者が引退した後に事業の消滅が懸念される場合は、市場環境が良好なうちにより良い条件での事業譲渡によるハッピーリタイヤも検討に入れるべきかもしれません。
設計事務所の事業譲受を検討している買い手にとっては、市場環境が整っている現在は事業を一気に拡大できるチャンスと捉えることができます。
M&Aの実行で得られるメリット
<売り手が得られるメリット>
・後継者不在の問題を解消し事業継続性を改善すうことで、建築主に対する責任を果たせる。
・従業員の雇用を維持し、同時に従業員の家族の生活を守れる
・それまでの実績や信頼を維持できる
・負債から開放され、ハッピーリタイヤが実現できる
・後継者問題から開放され、ハッピーリタイヤが実現できる
・単独では海外進出が困難でも、他社と連携することで実現できる可能性がある
・不採算部門、ノンコア部門を活かせる企業に譲渡することでまとまった資金を手に入れ、コア部門に資金を投入できる
<買手が得られるメリット>
・市場環境が良好なうちに一気に事業を拡大できる
・受注が見込める地域に進出できる
・顧客の囲い込み、販路の構築に費やすはずだった時間を節約できる
・人材・技術を獲得できる
・経営基盤の強化
・海外進出のチャンス獲得
・成長スピードの飛躍的な向上
・譲受先のブランドを活用できる
・原価低減、間接コスト低減などのメリット得られる
・外注していた業務の内製化による収益性向上
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M&Aは、一昔前までは大企業が行うものという認識が強かったと思いますが、近年は後継者不足問題の解決や業績不振の改善、業務の統合を目的に中小企業様でも積極的に行われるようになりました。
しかし、実際には相談する相手がおらず話が遅々として進まないケースや、準備は整っても候補先企業が見つからないなどの理由で断念してしまうケースが多いようです。
社長様自身が自社の売却や事業の譲渡を行うケースもありますが、その場合大切な事業や資産を過小評価され、十分な評価がされない結果になってしまうことも少なくありません。
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