不動産管理業界・ビルメンテナンス業界のM&A動向

不動産管理業界・ビルメンテナンス業界の基礎知識

不動産管理業とビルメンテナンス業はそれぞれを業務の中心とした企業同士で住み分けの関係ができていましたが、近年はそれぞれが低価格や競争力強化を図り、業界の垣根を超えた競争が激しくなってきています。

ビルメンテナンス業は労働集約的な清掃業であり、人件費や外注費の割合が高く、収益性が良いとはいえません。業界の特色としては中小零細企業が全体での5割以上を占めますが、業界トップのシェアの1%にも満たない状況です。

大手の会社は既存物件の建物診断など高付加価値サービスを提供することで他社との差別化を図っており、中小企業は建物清掃をメインの業務としているところが多くなります。

業界の動向としては、既存の老朽化したビルのリニューアル需要が増えており、市場回復の一助になっています。ただし、ビルメンテナンス業界は慢性的に人手不足という問題を抱えており、この問題の解決が課題となっています。

逆に不動産管理業はオフィスビル管理業などが好調で、住宅市場の回復に伴い需要が拡大しています。

不動産管理業界・ビルメンテンナス業界のM&A動向

不動産管理業界はM&Aの件数が伸びている業界のひとつです。譲渡企業は後継者不在など特別な理由がないとなかなか見つかりませんが、一定の顧客を持っていれば会社の引き継ぎ先が見つけやすい業界です。

ビルメンテナンス業界は、大手を中心に総合ファシリティマネジメントサービス(FMS)事業の展開を目指し、ビルの施設管理、清掃、警備、空調管理、資材調達、営繕工事、エネルギー消費管理までトータルなサービス提供を実現することで差別化を図っており、その体制を強化する目的で今後M&Aの件数が伸びることが予想されています。

不動産管理業会・ビルメンテンナス業界におけるM&Aのメリット

売り手が得られるメリット
・会社または事業を存続させられる
・従業員の雇用とその家族の生活を守れる
・大手営業力と知名度を活用することで財務基盤を安定させられる
・負債から開放され、まとまった資金がつくれる
・後継者問題からの解放とハッピーリタイアの実現
・後継者が居ない場合も事業承継を円滑におこなえる

買手が得られるメリット
・新たなネットワークを構築できる
・顧客、販路を引き継げるうえ、人材の確保に費やすはずだった時間を節約できる
・事業を一気に拡大できる
・需要がある地域にある企業から事業を譲受することで進出が容易になる
・従来の外注業務を内製化することでコストの削減・収益性の改善が図れる

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M&Aは、一昔前までは大企業が行うものという認識が強かったと思いますが、近年は後継者不足問題の解決や業績不振の改善、業務の統合を目的に中小企業様でも積極的に行われるようになりました。

しかし、実際には相談する相手がおらず話が遅々として進まないケースや、準備は整っても候補先企業が見つからないなどの理由で断念してしまうケースが多いようです。

社長様自身が自社の売却や事業の譲渡を行うケースもありますが、その場合大切な事業や資産を過小評価され、十分な評価がされない結果になってしまうことも少なくありません。

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