運送業界・物流業界のM&A動向

運送業界・物流業界の基本知識

業界全体を見ると平成24以降は業績を伸ばしていますが、国内の貨物輸送量は低迷しています。平成27年度の国内貨物輸送量は前年比を下回っており、3年連続で減少しています。

一方、アマゾンや楽天を始めとしたインターネット通販の拡大に伴い、宅急便の取り扱い個数は増加しており、平成27年度の宅急便取扱個数は前年比+3.6%(37億4,493万個)となっており、運送業界の新たな牽引役となっています。

ネット通販市場は今後も着実に成長すると見込まれているため、宅配便需要は今後も伸びると予想されています。

こうした流れを受けて、運送各社は積極的な配送拠点の拡大に乗り出しています。宅配便大手のヤマトHDは神奈川県に新たな物流拠点として『厚木ゲートウェイ(GW)』を設立し、さらに中部、関西で新たな拠点を設立することで物流の効率化・高速化を目指しています。

一方、ネット通販の拡大にともない、1個あたりの単価が低い宅配便の取扱が増加することで、運送会社の利益を圧迫する要因にもなっています。

さらに、ドライバー不足の問題も深刻化しています。ドライバーが不足することで採用費や人件費が増加し、現場の負担増や企業収益の圧迫につながっています。

今後もネット通販の拡大に伴う宅配便の需要増加が見込まれるため、より効率的なシステムの導入や大規模拠点の整備など、今まで以上の業務効率化が求められています。

また、ここ数年は急速な成長を見せるアジア市場への海外展開が加速しています。近年の運送業界は宅配便需要の増加により好調な推移を見せていますが、将来的には国内のネット通販も成熟し、需要は頭打ちになります。

こうした将来の動向を見据え、運送業界は海外への展開を活発化しています。今後もアジア市場の開拓はさらに進むと予測され、市場競争も激化する見通しです。

運送業界・物流業界のMA動向

上述した近年の業界動向を受けて日本郵政公社と日本通運の業務提携、福山通運と日立物流の業務提携に代表される生き残りをかけた動きが活発になっています。

運送業界は中小企業や個人事業者が多い断片的市場であるため、今後も大手有力企業を中心とした業界再編は継続される見通しです。

加えて、多くの運送中小企業は後継者問題を抱えるところが多いため、後継者問題・事業承継問題を解決する手段としてM%Aの活用が増える見込みとなっています。

運送業界・物流業界でM&Aを実行したときに得られるメリット

売手が得られるメリット
・従業員の雇用を維持できる
・後継者問題を解決してハッピーリタイアできる
・グループ化することでトラックの実働率、積載効率の工場が見込め、安定した経営計画が立てられる
・流通機能全般を一括で請け負う3PLなど、自社では手間・お金がかかる物流システムの構築が容易になる

買手が得られるメリット
・車両、設備、システムを一括で獲得できる
・技術、資格を有する人材を確保できる
・事業基盤の拡大
・エリアの拡大、顧客の多様化を時間をかけずにローリスクで取り込むことができる

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M&Aは、一昔前までは大企業が行うものという認識が強かったと思いますが、近年は後継者不足問題の解決や業績不振の改善、業務の統合を目的に中小企業様でも積極的に行われるようになりました。

しかし、実際には相談する相手がおらず話が遅々として進まないケースや、準備は整っても候補先企業が見つからないなどの理由で断念してしまうケースが多いようです。

社長様自身が自社の売却や事業の譲渡を行うケースもありますが、その場合大切な事業や資産を過小評価され、十分な評価がされない結果になってしまうことも少なくありません。

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